ローカルなインパクトも最大限にあるようなグローバルキャンペーンを制作すること。これは、広告で最もデリケートなバランスが必要なことのひとつです。

ここでは、その鍵となるパズルのピース、「ローカルでの効果を失うことなく、グローバルのブランド・エクイティを維持できるコピーを作ること」について見てみましょう。

ありがたいことに、今では私たちのほとんどがトランスクリエーションの基本を学んでいます。たとえば、ターゲット市場に住んでいるプロのコピーライター(翻訳者ではなく)のみを採用しています。

しかし、うっかりと落とし穴に落ちてしまう人も少なくなく、そのために「まあまあ良い」と「素晴らしい」の違いが出来てしまいます。

落とし穴 1: 地図を持たずに彷徨う

1つのTVスポットを2つの言語にローカライズするのは比較的簡単です。 しかし、ひとつのコンセプトが多数の言語にアダプテーションされ、いろいろなメディアや違う大きさのもので再利用されることは、もはや珍しいことではありません。

企業の多くは、効率と転用を最大化するための正式なプロセスを持っていないため、 品質が低下し、納期が延び、予算も膨れ上がってしまいます。

これを解決するには、次のようなシンプルで文書化されたプロセスが必要です。

  1. 理想的には世界中でリアルタイムな引継ぎを実現できるオンラインワークフローを使用した「標準的な連続アクション」(時差を利用して遅延を回避します)
  2. 各役割の必要条件をはっきりさせた「標準的な役割の定義」(多くの企業に、契約していない、または資格のない仕事をしている人がいます)
  3. 「標準ツール」(例:将来の再利用のために過去の翻訳を保存するデータベース、すべての言語で機能するオンライン校正ツール)

落とし穴 2: スタートが遅すぎる

企業の多くは、マスター(通常は英語版)が完成してからローカライズに取り掛かります。それでは遅すぎて、問題を修正する時間が取れません。ソリューション:

  1. ローカリゼーションをアダプテーション計画に組み込みます。グローバルマスターは、ローカル市場からの正式なインプットなしには制作できません。
  2. ローカルの戦略担当者と相談し市場調査をする前にコンセプトを決定しないこと。さもないとキャンペーンの整合性に問題が出てくる場合があります。
  3. 柔軟性とローカル戦略を考慮した「上手な折衷案」を探しましょう。プロセスに余裕を持たせることで、ローカル市場はビジュアル、カラー、コピーの方向性についてインプットが得られます。一方、ブランド・エクィティを保つには、グローバルマスターやリージョナルマスターから大きく離れてはいけません。

落とし穴 3: フィールドテストの失敗

世界一のコピーライターとローカライザーがいたとしても、彼らの作ったコピーがうまく機能するかどうか、どうしたらわかるでしょうか?

その答えは、導入前のフィールドテストです。賢明な企業は、迅速な市場フィードバック(通常はオンライン調査)を使用してコンセプトとコピーの効果をテストします。Craftがとても有効だと考えているテクニックの1つは、ローカルのコピーライターに複数のヘッドラインを作成してもらいテストすることです。そうすることによって、一番大きなインパクトのあるコピーが分かります。

落とし穴 4: 止めるのが早すぎる

多くの人が勘違いをしていますが、広告を打つことがプロジェクトの最終地点ではありません。

賢明な企業は、ローカライズ版の効果に関するデータとメトリクス生成する仕組みを持っています。中には、広告のインパクトを比較するために、異なるバージョンの広告を異なる時間帯や異なる地域で展開するところもあります。

これらのメトリクスは、その後プロセスにフィードバックされるため、品質水準が各市場で高まり続けます。 データは、コピー、デザイン、カルチャー的問題などの弱点を特定することにも役立ちます。

落とし穴 5: ローカルの積極的な関与を逃す

ローカルの代表となる人たちが自ら積極的に取り組んでくれない場合には、上手くローカライズされたキャンペーンであっても、逆風に会う可能性があります。

一元化されたトランスクリエーションは、時間とコストを大幅に節約できますが、一元化することでローカル市場から離れたものを制作してしまう可能性もあります。

ソリューション: 地域や地元のレビュアーを特定し、効率的なオンラインのリアルタイム・ワークフローツールを経由して彼らとつながります。この方法だと、プロセスの非常に早い段階からローカルのレビュアーにインプットがあり、強力なローカル広告ができあがります。

どこから始めたら良いか?

始めのステップとして一番良いのは、自社のポジションをベンチマークし、ギャップを特定することです。Craftは、自分でできるチェックリストやより正式なプロセス・レビューにより、ローカルおよびグローバルレベルの両方でサポートします。ご連絡をいただければ、プロジェクトを推進するための最良のインサイトをいくつかご提案いたします。